小梅物語タイトル画像


それは2002年4月18日朝。

「ちょっときて〜」
奥さんがベランダを何故か、そおっと覗きながら旦那を呼んだ。
朝から何事だと旦那は眠い目をこすりながら、奥さんの肩越しに、同じようにそおっとベランダを覗くと…。

「うわ〜子猫!」
そこには産まれたばかりと思われる子猫が、
「いち、にい、さん……、う〜ん、何匹だ?」
あまりにも重なり合っていて何匹かよくわからない状態で親猫に抱かれていた。
奥さんがベランダで花を植えていたプランターがこの時期空になっていて、長方形の空の木箱がちょうどよい大きさで出産場所として選ばれ、猫たちの住処となっていたのだ。

親猫を刺激しないように、よく見てみると、
どうやら子猫は全部で四匹。本当に産まれたばかりのようで目も開いていないようだ。
ベランダで子猫が産まれたという状況に戸惑いつつも、
何となく、幸せな気持ちで1日の朝を迎え、
何となく、この先楽しいことが待ち受けている予感がしていた。
もちろん、このうちの一匹がこの家の飼い猫になるとは、その時夫婦は思ってもいなかったのだが…。

ちなみにこの夫婦、東京在住のごくごく平凡な夫婦で築30年の賃貸マンション暮らしで子供はいない。
これまでペットを飼った事は無く、この時点では特別な猫好きという訳でもなかったのだが…。
部屋は101号室。つまり角部屋である。更にベランダは地上から高さがあって柵は簾で覆われている上、ベランダのすぐ前にはベランダと同じ高さくらいの共同のゴミ捨て場があり、外からはほとんど見えなくなっている。
確かに、子猫を産むには母猫にとって都合が良かったのかもしれない。
それにしても、前日までは全く気がつかずいきなりの一家登場となったのである。

つづく