小梅物語タイトル画像


子猫たちは当然だが、夫婦は母猫もかなりのお気に入りである。
相変わらず微妙な関係で、なついてはいないのだが、何と言うか、そう、「かっこいい」のである。

実は母猫については、ベランダに猫一家が登場して間もなく、既に奥さんがこう呼んでいた。

「小町」

何故「小町」かと言われても、説明できる程の理由がある訳ではないのだが、スッとした顔に凛々しい佇まい。人間に媚びないその性格(のように見える)。
夫婦にとって、そのイメージが何となしに「小町」であったのだ。

小町はかっこいいし、それに逞しい。
小町は子猫たちといるときは、いつも涼しげな優しい顔をしている。
たとえ、子猫たちが自分のしっぽに噛み付こうが、蹴っ飛ばされようが、である。

しかし時には、子猫を舐めていながらいつの間にか毛布を舐めていても気がつかず…。
お茶目でもある。

そして、何より子猫たちにおっぱいを与えているときは母猫としての逞しさに感動せずにはいられない。


ある日、いつものように小町が外出から帰ってくると、何やら口にくわえている。
よく見ると、それは何かの揚げ物のようだ。
やはり近所には餌をくれる猫好きの人がいるようだが、その揚げ物を自分で食べるのかと思いきや、何と子猫たちに与えた。
子猫に揚げ物を与えても大丈夫なのだろうかと思うのは人間の勝手な心配なのだろう。
この猫一家は生きていかなければいけないのだから。
そう、皆、逞しいのである。

つづく