小梅物語タイトル画像
見出しタイトル 夜になると

夫婦は家にいる時は、朝からベランダを開けっ放しにしておく事が常になった。
そして子猫たちも普通にベランダと部屋の中を出たり入ったりして、好きなように遊んでいる。

今のところ、子猫たちが遊んでいる部屋はベランダに面していて居間として使っている部屋のみで、そこ以外の部屋はドアを閉めている。
どこにでも入って行きそうな子猫たちに目配りするにはその部屋で精一杯である。

それでも子猫たちが遊び回ったり、昼寝をしたり、はたまた夫婦も一緒に遊んだりと、そのひと部屋だけで十分夢のような空間である。

餌はというと、初めてベランダにかりかり餌を置いて以来、定期的にベランダに置くようになっていた。
小町は相変わらず外出先でも餌をもらっているようだが、ベランダでもよく食べている。

実のところ、このような状態が、本来は野良猫であるこの猫一家にとって、本当に良い事なのかどうか。それは難しい問題である。
飼い猫として、きちんと責任を果たしている訳でもなく、ただただかわいいからと言って、中途半端に関わって…。
しかし、残念ながらこの時の夫婦には、そこまで考える余裕はなく、この猫一家と夢のような毎日を過ごすための精一杯のもてなしのつもりなのである。
ただ、この事について真剣に考えなくていはいけない時期が近づいている事は間違いない。

さて、これまで見てきたように、日中は大賑わいのこの部屋であるが、実は夜になると猫一家は不思議ときちんとベランダの木箱の中へと戻って行く。
まるで小町が、
「みんな、そろそろ帰るよ」
と言っているように部屋から皆出て行くのである。

そして夫婦はそれを見届けて、
「本日は終了か〜」
とベランダを閉め、楽しい一日を終えるのである。

よく分からないが、猫一家にとってあくまで寝床は木箱のようで、部屋の中は遊び場というか、行動範囲の一角に過ぎないようである。
夜の間、どのように過ごしているのだろうかと気にはなるのだが、夫婦にとっては今のところはそれでホッとしている所はある。
日中に猫一家と夢のような時間を過ごしているとはいえ、正直、夜通し部屋の中にいるとなると、寝ている間に何をするのか、というより、どのように対応して良いのか分からないので、気になってかえってゆっくり寝てられないであろうと想像ができる。
猫一家がある一定の距離を保ってっくれていることに感謝である。
何よりここはペット禁止なのであるから。

つづく