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見出しタイトル ひとりぼっちのしっぽ

子猫達がベランダを脱出してそれほど経ってはいないのだが、どこでどうしているのだろうか、小町としっぽを除く他の3匹はほとんどベランダには戻ってこなくなってしまった。

3匹の子猫達が駐車場で走っている姿さえも見る回数が減ってきていたように思う。
本当に、どこかに新しい住処を見つけたようだ。

寂しく残念ではあったものの、夫婦はこのような状況になる事は、何となく覚悟していた事ではある。
但し、しっぽのこの状況を除いては…。

しっぽだけがベランダでこれまでと同じように生活してはいるものの、以前のような賑やかなじゃれ合いや運動会もなく、当然部屋の中に大勢が入ってくることも、もうない。
ちょっとの間に、すっかりと状況は変わってしまった。

小町はというと、しっぽが残っているからだろうか、思い出したようにベランダに顔を出す事はあったものの、その回数はめっきり減ってしまった上、そこに留まっている時間もとても短くなってきていた。

もしも小町も戻ってこなくなったら、しっぽはどうなってしまうのだろうか。

だからこそ、一層、ひとりぼっちの時のしっぽの様子が気になるのだ。

朝起きて、まずはしっぽの様子を見にベランダへ。
相変わらず、ひとりぼっちのしっぽを確認すると、小町も来なくなってきたので、餌と水だけは切らさないようにしておく。といった具合である。

トラちゃん、茶タロウ、ハナクソはどうやら本当に巣立ってしまった。
ただ、一匹残されたしっぽはベランダから旅立つ事ができるのだろうか。
皆の後を追いかけていくことは出来るのだろうか。

しっぽのことが気がかりながらも、賑やかな猫一家中心の生活は、もうなくなってしまった。
夫婦の日常は、これまでのてんやわんやの毎日とはちょっと様子が変わり、いわゆる通常に近いものにはなってきていた。

そして運命の日は6月のある雨の夜に起きたのである。

つづく