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見出しタイトル 幸せな時間

雨が吹き込む暗いベランダで、必死に鳴き続けていたしっぽであったが、部屋の中に入れると落ち着きを取り戻してくれたようで、不思議そうに辺りを見回したりもしていた。

すると、程なくしっぽもいつもの部屋の中で安心したのか、いきなりやんちゃぶりを発揮し始めたのである。
そう、いきなりスイッチが入ったのである。

部屋中を走り回るは、ソファやあちこちに飛び乗るはの大はしゃぎ。
夜も遅かったので、そのはしゃぎっぷりを笑って見ながら布団を敷いて寝る準備をしていると、今度はその布団の上で跳ねるは跳ねるは。

これには夫婦もビックリの大喜びである。
このように、猫に急にスイッチが入って走り出したりするのを初めて見たのである。

他にも、夫婦が初めて見る横走りでの威嚇のポーズをしてみたり、手をかざすと、猫パンチ、猫パンチ!
夫婦も一緒になって、キャッキャとしっぽと遊び続けた。

こんなしっぽを見るのは初めてである。 いや、夫婦にとってはこんな“猫”を見るのが初めてなのである。

夫婦にとって、今回の猫一家の子猫達との出会いの中、この夜は心から心配して、心から一緒に楽しんでと純粋な気持ちで正面から子猫と向き合った、初めての時でもあった。

そして、それは最高に幸せな時間であった。

ほんのちょっと前までの、ベランダの雨の中での悲痛な寂しそうな様子はどこへやらであるが、子猫はそんなものなのかもしれない。

とにかく、しっぽがすっかり元気を取り戻してくれたのが、何より一番嬉しかったのである。

夫婦はしっぽとのこの夜の出来事を、決して忘れる事はないだろう。

※写真はイメージです。

つづく