小梅物語タイトル画像
見出しタイトル 夜も一緒に

初めて部屋の中で夜を過ごしたしっぽであったが、日中はそれまでの数日と同じく、1人ぼっちでベランダで過ごし、ほとんど見ることのなくなった他の子猫達の姿が、まるでそこに見えているかのように、じっとベランダの先の駐車場を見ていたりした。

やはりその姿は寂しそうで、兄弟達に会いたいのかな、と思わせる姿であった。
ただ、現実には夫婦も、他の子猫達をちらっと見かけることさえもなくなってしまっていた。

小町に至っては母猫であるはずなのに、夫婦の心配をよそにほとんど姿を見せなくなってしまっていた。
これから、しっぽはどうなるのだろうか。いや、どうすれば良いのだろうか。

変わらず、ベランダで一人ぼっちのしっぽであったが、一つだけ変わったことがあった。

それは、あの雨の夜以来、夫婦は夜にはしっぽを家の中に入れることにしたのである。

日中は以前と同じく、気が向けば部屋の中に入ってきていたので、ベランダと部屋の中を出たり入ったりしていたわけだが、夜は必ずしっぽを部屋のなかに入れるようにしたのである。

以前は、夜に猫一家を部屋に入れることはなかった。
というか、子猫達は夜になると小町と一緒に部屋からベランダへと移動して、夜は必ずベランダの木箱の中で過ごしていたのだが、しっぽは一人ぼっちになっても、その頃と同じように夜になるとベランダへ移動していたのである。

そして、夜をひとりぼっちで過ごしていた…。

しかし、もうあの雨の夜の時のような寂しい思いを絶対させたくなかったのである。

しっぽは部屋にいる時は夫婦と一緒に楽しい時間を過ごしていて、寂しい素振りを見せることはなかった。
ひょっとしたら、寂しくないように、見えていただけかもしれない。

実際の所、本当の猫の気持ちは分からない。

しかし、少なくとも、寂しさはまぎれてるのではないかと夫婦は思っていたのである。いや、思いたかったのである。

嬉しいことに、そのうちしっぽもそれが当たり前のように、夜になると部屋に入ってくるようになり、もしくは、ず〜っと部屋にいて、そのまま夜になっても部屋にいてくれたりするようになってきていた。

何だか、ひと安心ではあったのだが、こうなると、ほとんど飼い猫である。

いや、間違いなく飼い猫である。困ったものである…。

※本文と写真は特に関連はありません。


つづく